【住民税】わかりやすく解説~住民税とは?計算方法は?いつ払うの?~

税金には、法人税、所得税、消費税、住民税、固定資産税など、国や都道府県に納めるもの、お住まいの市区町村に納めるものなど、色々なものがあります。

今回の記事では、お住まいの市区町村に納める税金である住民税について、「そもそも住民税って何?」「どうやって計算されているの?」「主婦の場合は納める必要があるの?」「いつ払うの?」といった疑問を解決していきます。

※税率や条件などは地域によって異なる場合がありますので、詳しくはお住まいの市区町村のホームページや住民税の担当窓口などでご確認ください。

住民税とは・・・

税金は、国や都道府県・市区町村が行う公共事業、教育、福祉、国防、警察・消防、ごみ処理などのために納めるものですが、大きくは、国に納める「国税」と都道府県や市区町村に納める「地方税」に分かれています。

住民税については、「地方税」の1つであり、個人が、毎年1月1日に住民票のある都道府県・市区町村などへ納める「個人住民税」と会社の事務所が所在する都道府県・市区町村などへ納める「法人住民税」に分けることができますが、今回は、一般的に住民税と言われる「個人住民税」を中心に解説していきます。

住民税(個人住民税)はいくら・税率は?

住民税(個人住民税)は、「所得割」「均等割」の2つの計算方法があり、それぞれの合計額を住民税として納めます。

所得割

税率が決まっており、基本的には課税所得の10%で、内訳は、市区町村分(市区町村民税)が6%、都道府県分(都道府県民税)が4%です。

仮に、課税所得が300万円の場合、300万円×10%=30万円が所得割になります。

なお、ここで言う課税所得は年収とは違うところに注意が必要です(住民税の計算方法のところで解説あり)。

また、住民税の税率は、基本的には全国一律であり、「私のまちは住民税が高い!」というのは、住民税とは別の国民健康保険税の違いによるところが多いと考えられます(個人的な感覚の差があるかもしれませんが、住民税の税率が2割も3割も違うということはありません)。

均等割

課税所得の多い・少ないに関わらず納めるもので、年額4,000円となっており、2014年から2023年の10年間は、防災事業の財源とするための復興特別税として、市区町村民税で500円、都道府県民税で500円の計1,000円がプラスされ、年額5,000円となっています。

また、復興特別税が終了した後は、同じく1,000円の森林環境税を納めなければいけないことが決まっています(あまり注目されていないような・・・)。

※市区町村分と都道府県分の住民税は一緒に納めることになっており、納められた金額を市区町村と都道府県が分配していますので、納税者である私たちがその区分を意識することはほとんど無いかと思います。

住民税の計算方法

住民税の計算は、会社などで行う「年末調整(源泉徴収票の作成)」や個人事業主などが行う「確定申告」とリンクしています。

「年末調整」や「確定申告」は、所得税(国税)を納めるために必要なものですが、これらの情報については、お住まいの市区町村も共有しており、基本的には、次の計算方法により住民税額が決定されます。

1 合計所得金額の計算

(計算式)総所得金額=合計所得金額-損失の繰越控除

合計所得金額:年間(1月1日~12月31日)の収入から経費などを差し引いたもので、会社からもらう源泉徴収票や確定申告をした場合の確定申告書の給与所得や合計所得金額になります。

2 所得控除

住民税の計算でも、所得税と同じように一定の所得控除(1総所得金額から差し引くことができる額)があります。

ただし、住民税で所得控除が可能な金額は、年末調整や確定申告の際の所得税の所得控除とは異なります。

住民税の所得控除は次のとおりです。

  • 基礎控除
  • 配偶者控除
  • 配偶者特別控除
  • 扶養控除
  • 生命保険控除
  • 社会保険料控除
  • 医療費控除 など
3 課税所得の計算

(計算式)課税所得=総所得金額-所得控除額の合計

4 所得割の計算

(計算式)税額控除前の所得割額=課税所得額 × 税率(10%)

5 税額控除

(計算式)税額控除後の所得割額=税額控除前の所得割額-税額控除の額

税額控除には、寄附金税額控除、配当割額及び株式譲渡所得割額の控除、住宅借入金当特別税額控除などがあります。

6 住民税額の計算(均等割額の加算)

(計算式)住民税額=税額控除後の所得割額+均等割額

住民税額の計算例

総所得金額:400万円/住民税の所得控除の合計:100万円/税額控除なし/調整控除なし/均等割は2023年分までのもの

  1. 400万円(総所得金額)-100万円(所得控除)=300万円(課税所得額)
  2. 300万円(課税所得額)×10%=30万円(税額控除前の所得割額)
  3. 30万円(税額控除前の所得割額)- 税額控除なし=30万円(税額控除後の所得割額)
  4. 30万円(税額控除後の所得割額)+ 5,000円(均等割額)=30万5,000円(住民税額)

住民税は非課税となる場合があります

一定の収入がある場合には、基本的に住民税を納める必要がありますが、条件によっては非課税となるケースがあります。

所得割・均等割の両方が非課税

生活保護を受けている、未成年者、ひとり親などで前年の所得が一定額以下である、前年の所得が一定額以下であるなどの場合、所得割・均等割のどちらも非課税となる場合があります。

所得割のみ非課税

単身者の場合で前年の所得が一定額以下、同一生計の配偶者や扶養親族がいる場合は前年の所得が一定額以下であるなどの場合、所得割のみが非課税となる場合があります。

※所得などの条件は、お住まいの市区町村によって異なります。

住民税の納め方

所得税(国税)は、給与所得者の場合は、毎月給与から源泉徴収税として天引きされ、年末調整の時に、過不足分が精算される仕組み(申告納税方式)になっています。

また、個人事業主などの場合は、確定申告後に納めるか、指定の期日に金融機関の口座から引き落とされるかのいずれかの方法で納めます。

一方、住民税は、都道府県や市区町村が税額を計算して、納税者に通知され、その上で納税する仕組み(賦課課税方式)になっており、具体的な納税の方法は、「普通徴収」「特別徴収」と2つがあります。

普通徴収

普通徴収は、納税者が自分で住民税を納付する方法です。

個人事業主などのほか、アルバイトやパートタイマーなどのうち特別徴収が適用されない人たちが普通徴収で納税します。

毎年5月~6月に市区町村から納付書が届くので、これを使って税金を納めます。

4回に分けて納付できるようにもなっており、それぞれの納期限は、次のとおりです。

  • 第1期:6月末
  • 第2期:8月末
  • 第3期:10月末
  • 第4期:翌年1月末

月末が休日の場合は、次の平日が納期限になり、納付書ではなく口座振替による納付も可能です。

特別徴収

特別徴収は、会社などの事業主が従業員から住民税を徴収し、従業員に代わって納税する方法です。

所得税(国税)の源泉徴収などを受けている人が対象となり、所得税の源泉徴収と一緒に給与から天引きされる形で徴収されるため、給料日に住民税も納めていることになります。

会社などが従業員から集めた住民税額の総額は、給与支給日の翌月10日までに市区町村に支払わなければなりません。

住民税の額は、普通徴収と同じく毎年6月に更新され、市区町村から会社などを通して通知されます。

※会社などを退職した際の住民税の納め方については、退職をした期日や転職先の会社などの対応によって異なります。

※住民税の額は、毎年5月から6月にかけて、前年1月から12月の所得の状況などをもとに、お住まいの市区町村が計算して決定されるため、実際には、収入があった時期と税を納める時期が1年程度ずれています。

「新卒の2年目からいきなり住民税を天引きされた」「3月末で退職、6月に市区町村から送られてきた通知書を見てびっくりした」なんてこともよく聞かれますので、注意が必要です。

当たり前ですが、滞納はしないように!

住民税を滞納した場合、市区町村から督促状が届きます。

また、もともとの税額に加えて延滞金が必要になること、さらに滞納が続く場合には電話連絡や催告書が届くこと、財産が差し押さえられること、色々な行政サービスを受けることができなくなることなどがあります。

特別な事業があると認められる場合には、納税を猶予してもらうことも可能なことがあるので、まずはお住まいの市区町村の住民税担当窓口に連絡してみましょう。

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